2013年3月10日午前9時から放送されたテレビ朝日系の「ヒットの泉~ニッポンの夢ヂカラ~」で研究テーマに「人気の駅弁」が選ばれました。
今年1月に新宿の京王百貨店で開催された「元祖有名駅弁と全国うまいもの大会」には、全国各地から味に自信のある250種類もの様々な駅弁が大集合しました。誰もが知る有名な駅弁から期待の新作駅弁まで、目指すは日本一の駅弁です。地元ならではの食材をふんだんに使ったオリジナルティあふれる駅弁が勢揃いしたのです。会場を訪れたお客さんは、2週間で何と100万人以上でした。
この駅弁大会では、販売個数でランキングを発表しました。今回は、そのベスト10に入った大人気の駅弁のヒットの裏側に迫ってみます。
なお、東京駅では、大丸東京店のお弁当ストリート、グランスタの「駅弁屋 祭」をはじめとして、いたるところで日本全国の駅弁の多くが買えるようですので、この記事を参考にしていただければ幸いです。
ゲストの石塚英彦さんによると「駅弁と書いて四角いロマンと読んでいます。ご当地を知るには、駅弁のフタを開けるのが一番早い!」とのこと。
また、元モノ・マガジン編集長の帆足泰子さんも、「最近どんどん新しいものが出てきていて、一つは「高級感」もひとつのトレンドの理由で、どんどん食材も良い物を使って、美味しいお弁当の開発も進んでいます。それだけ駅弁に注目する人も増えています。」
それでも、東京駅でもたくさんのお弁当が並んでいて買う時に迷います。
元祖有名駅弁大会のランキングベスト10 (売上個数順)
順位 | 駅弁名 | 価格 | 駅名 |
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いかめし | 500円 | 北海道 森駅 |
ご飯を詰めたイカを醤油ダレで煮込んだ言わずと知れた超メジャー駅弁です。 イカの風味がご飯にしっかりと染み込んだどこか懐かしい素朴な味わい。 長年に渡り多くの人に愛され続けている「いかめし」が第1位の駅弁です。 |
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食べくらべ 四大かにめし | 1,260円 | 北海道 稚内駅 |
日本最北端の駅で売られているまさにカニづくしの駅弁です。 タラバガニ、毛ガニ、花咲ガニ、ズワイガニの4種類を食べ比べできるなんとも贅沢な新作駅弁です。 |
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牛肉どまん中 | 1,100円 | 山形県 米沢市 |
特製の醤油ダレで味付けした国産牛肉の薄切りしたところをふっくら炊きあげたご飯の上にタップリと敷き詰めている牛丼風の駅弁です。山形新幹線の車内販売をきっかけにブレークしたこの駅弁は、現在では、東京駅などでも販売されており、年間60万食を売り上げる人気駅弁です。
作っているのは、米沢駅の眼の前にある有限会社新杵屋です。 午後4時に駅弁作りは、国産の牛肉をカットすることから始まりますが、実は前日から下ごしらえしています。牛肉を漬ける秘伝のタレも前日に仕込みます。大量の醤油をベースに、砂糖、ミリン、ザラメ、水飴などを合わせ、味に深みを出させるために一晩中、8時間かけて撹拌しながらじっくりと煮込みます。前日の作業はここまでです。 翌朝4時に、弁当用のご飯を準備します。使用するお米は、地元米沢産の「どまんなか」です。このお米の名前が駅弁の名前の由来となっています。30合炊ける大きな釜を3つ用意し、一気に炊き上げます。炊き上がったご飯は、粘り気がなく具を乗せて食べる駅弁に最適なご飯です。 朝6時には、お弁当の箱の準備をシます。新幹線の始発の時間が迫る中、ここから忙しさはピークを迎えます。前日下準備をしていた国産牛のばら肉を、醤油ベースの甘辛タレで煮込みます。その時間はわずか2分足らずです。そして粗熱を取った後、秘伝のタレで煮込みます。実はこの作業が、お弁当が冷めても美味しく食べられる秘密だそうです。2回に分けて煮こむことで肉の余分な脂を取り除くことが可能になるからです。これをしないと弁当全体に脂が広がってしまうそうです。一方、牛肉に添えるぎゅうそぼろも2度煮込みます。 続いて盛り付け作業です。熟練の従業員の手により、おかずが盛りつけられた弁当箱の中に、ふっくら炊き上がった「どまんなか」を入れ、牛そぼろと甘辛牛肉をご飯の上に素早く敷き詰めていきます。そして最後の仕上げに全体にしみ込ませるようにタレを掛けて完成です。 朝6時50分には、新幹線の始発に間に合わせるために、従業員さんができたてのお弁当を駅まで運びます。こうして牛肉どまん中は、車内販売や駅の売店に届けられています。 こんな新杵屋さんも、元々は駅弁屋さんではなくて、当初はお菓子の販売をしていました。1921年菓子店として創業した新杵屋は、終戦後米沢駅構内でのアイスクリームの販売権を獲得しました。しかし、冬になるとさっぱり売れませんでした。そこで先代の社長が考えたのは、年間を通して駅でコンスタントに売れる駅弁への参入でした。 そして1957年、東北初の牛肉の弁当として、「元祖牛肉弁当」を発売しました。1992年には、山形新幹線「つばさ」の開通に合わせて牛肉弁当をリニューアルし、地元の米の「どまんなか」を使用しました。牛肉どまん中の登場でした。 |
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4位 | 厚切り牛たん弁当 | 1,300円 | 宮城県 仙台駅 |
仙台名物の牛たんが5枚ものった駅弁です。こんがり焼いた分厚い牛たんは、とてもジューシーで麦ごはんとの相性も抜群です。 仙台に行ったら、是非食べたい駅弁です。 |
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5位 | 氏家かきめし | 980円 | 北海道 厚岸駅 |
秘伝のタレで煮込んだふっくらとしたカキとシイタケやアサリなどの山の幸、海の幸がギッシリとつまっています。旅行客の感想では、甘みがあって美味しいそうです。カキの出汁もきいています。
従業員と社長の二人だけで作っています。 厚岸産のカキは、北海道のヒクリ水温の海水で育ち、小粒ながらも臭みがなく、風味豊かな甘みが特徴です。 作り方は、プリプリのカキを醤油と砂糖を使った秘伝のたれでじっくりと煮込みます。その他には、シイタケ、フキ、つぶ貝、アサリも煮込みます。ただし、それぞれの砂糖の量は異なり、砂糖のバランスと香りのバランスを取ることによって一つのかきめしご飯ができるそうです。 カキやシイタケは、独特の臭みを消してくれる上白糖、アサリは氷砂糖、つぶ貝はザラメ、フキは黒糖を使用しています。さらにカキから摂れるそのもののエキスとご飯を炊く時にそれを合体させて一つのご飯にしてしまうそうです。つまり、カキの煮汁に醤油、砂糖を入れさらにヒジキを加えて1時間タクト出来上がります。 通常よりもご飯を固めに炊くことで、冷めても美味しく食べられます。後は、炊きあげたご飯をオリに詰め、その上に煮込んだ具材を乗せると、大人気のかきめし弁当が出来上がりです。 そもそもこのかきめしは、社長が子供の頃、病弱でずっと寝てばかりだったので、母親がカキを炒めて作ったり、エキスを飲ませてくれたりしたのが始まりだそうです。それを父親がお弁当にしたのがかきめし弁当の始まりです。この名物駅弁は、両親の深い愛情から生まれました。 元々は地元でしか買えなかったのですが、デパートの催事に出た時は、鉄道ファンのみならず駅弁ファンにも話題騒然となったほどの人気駅弁です。 |
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6位 | 島根牛みそ玉丼 | 950円 | 島根県 松江駅 |
キメが細かい島根牛を奥出雲の天然醸造みそでじっくり煮込んだ風味豊かな味わいです。 みそ味のお肉と温泉卵をからませれば美味しさも倍増します。 |
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7位 | 神戸ワインステーキ弁当 | 1,200円 | 兵庫県 新神戸駅 |
この駅弁のメインは、分厚いステーキです。フタを開けると、ワイン漬けにした牛肉の香りが広がり、食欲をそそります。 キノコと炒めたバターライスとの相性も抜群で、駅弁とは思えない高級感を味わえます。 |
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8位 | 伊勢えび弁当 | 1,500円 | 千葉県 いすみ鉄道 大原駅 |
大きな伊勢えびが豪快に入っている駅弁です。千葉県は伊勢えびの漁獲量が日本一で、中でも大原周辺の海ではよく獲れます。 そんな地元が誇る名産品を鬼殻焼きにし、さらに椎茸や菜の花など地元食材をタップリと使っています。 |
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9位 | 飛騨牛しぐれ寿司 | 1,200円 | 岐阜県 高山駅 |
飛騨牛の持つ旨味が堪能できる豪華な駅弁です。牛のしぐれ煮は、酢飯との相性がピッタリ。 そしてなんといっても目を引くのが、5枚も入った大きなローストビーフです。一口噛めば、飛騨牛の旨味が口いっぱいに広がります。 |
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10位 | 華盛り 豚盛り | 1,000円 | 福島県 郡山駅 |
福島県産のブランド豚「麓山高原豚」を弁当箱からあふれんばかりに贅沢に使用しています。 花びらのように盛られたチャーシューと大きな角煮です。まさに、地元福島にこだわった豚丼弁当です。 |
東京で弁当屋を営む男が、日本一周して駅弁を食べまくって弁当を研究するという「駅弁ひとり旅」シリーズのコミックです。
上の記事のベストランキング10の駅弁も多く掲載されています。
コミック「駅弁ひとり旅」シリーズ